電子ペーパー動向のまとめ
2008年までの電子ペーパーのまとめ。もとは院試の研究プレゼンをするために調べました。*1
誰の役に立つのかは知らない。
電子ペーパー
電子ペーパーというとOEL(有機ELディスプレイ)からAmazonKindle、サーマルプリンター(リライタブル)までいろいろな意味を含んでいます。この記事では電子ペーパーという単語を「薄型・軽量な、反射型の、メモリ性を有する媒体」ということにします。
まず参考文献
めっちゃくわしい一番最近にでた本をご紹介。
詳しい原理から今後の展望まできっちり書いてあるので興味のある方はまずこちらを熟読されるのがよいと思います。*2
- 作者: 面谷信,日本画像学会
- 出版社/メーカー: 東京電機大学出版局
- 発売日: 2008/06
- メディア: 単行本
- 購入: 9人 クリック: 167回
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以下はこの本に記載されている表示技術まとめと、Web上資料へのリンク、実例です。
表示技術
いろいろと表示技術があります。表にしてみました。
原理等は各企業サイトでご覧ください。
名前 | 原理 | 開発企業 |
---|---|---|
マイクロカプセル型電気泳動方式 | 企業サイト | E Ink,トッパン |
Microcup®方式 | 企業サイト | SiPix |
電子粉流体方式 | 企業サイト | ブリヂストン |
コレステリック液晶方式 | 企業サイト | 富士通 |
エレクトロウェッティング方式 | 企業サイト | Liquavista |
MEMS素子方式 | 企業サイト | Qualcomm MEMS Technologies Inc |
シャッター方式*3 | 企業サイト | Pixtronix |
粉・カプセル系は素材に何を使っているかを明確に公表していないため、会社で分けています。
その他にもインクが特殊なものとして以下がありますが、「電子ペーパー」ではなくて「特殊なペーパー」である気がします。
- リコー「リライタブルプリンター」:専用の紙とプリンターが必要。モノクロ。2002年発表。
- Zink Imaging「ZINK Paper」:専用の紙とプリンターが必要。カラー。2007年発表。
実例
電子ブック
- Amazon Kindle:Amazon.comが販売する電子ブックリーダーである。2007年11月19日にアメリカ合衆国で発売が開始された。E Ink社方式。
- Sony「Sony Reader」:2006年9月より北米でPRS-500型が発売されている。E Ink社方式。
- Foxit「eSlick」:発売されてない。E Ink社方式。
- 松下「ΣBook」:2004年2月発売。公式サイトでコンテンツ配布を行っていたが、2008年6月30日に終了を告知。9月30日をもって正式に終了。
- Sony「LIBRIe」:日本国内では2004年4月24日に発売されたが売れ行きが伸びず、2007年5月をもって生産を終了した。ソニーが全額出資する電子書籍配信サイト「TimeBook Town」も2009年2月にサービスを終了する。
携帯電話
- au W62CA,W61H:日立製作所のau用携帯電話。シチズンセイミツ株式会社製。E Ink社方式。
- Motorola MOTOFONE F3:インドで使われているローエンド携帯。
試作機
基礎技術
- HP,FDC「安価な電子ペーパー」:TFTアレイをロール式に転写する方式で安価・量産可能に
- KDDI「高速な情報転送技術」:特に画像の転送技術
- 日立マクセル「電子ペーパー搭載iVDR」:メディアの中に入っている番組や曲のタイトルなどを表示
- 船井の反射型表示デバイス:メモリ性はないようです。
電子書類観覧用
- 富士通「FLEPia」:富士通はカラーが売り。
- ブリヂストン「QR-LPD」:反応速度がとても速い。
- Plastic Logic「Electronic-Reading Device」:非常に薄い電子ビューワ。E Ink社方式。発売時期未定。
- ブラザー工業「薄型電子ビューワ」:A5サイズの画面。薄型で軽量(380g)なのが売り。白黒4階調。発売時期未定。
時計、その他
- Liquavista「ColorBright」:エレクトロウェッティング方式の時計。単色。
- Esquireという雑誌の付録:Arduinoでハックする方法などがあるらしいです。
その他
コミュニティサイト
結論「OEL強すぎ」
反射光表示・表示時消費電力なしという点で液晶やOELには勝っていると考えられます。
しかし薄いディスプレイ・曲げられるディスプレイはOELによって実現されてしまいました。
また書き換えの消費電力もOELとおなじぐらいです。
こうなると高価で応答速度が悪くて動画表示に向かない、カラー化が難しい(できてもあんまり鮮明でない)電子ペーパーはOELに追いやれそうになっている、というのが現状だと思われます。
遅々として開発が進まないのはカラー化が進まないこととキラーアプリがないということが原因だと思いました。本当のところどうなのか、開発者さんに聞いてみたいところです。