手芸/ハンドメイドを個人が披露・販売する方法のまとめ
初めはちんまり自分のために作っていた手芸作品。
欲しい!という周りの人のために、ある程度数をつくったり、販売したりする。
そのうち、むくむくと野心が膨らんでくる。
「もしかしたら、もっとたくさんの人に作品を見てもらえるかも?」
そんな人のためのまとめです。
熱意が高じて記事が長くなってしまったので、時間のない人はとりあえず初めの2項目「対象としている人」「簡易まとめ」をご覧ください。
対象としている人
- オリジナルの、ハンドメイド(手芸)作品を、もっと多くの人に披露・販売したいと思っている人。
- 趣味の範囲を超えない範囲で、販売したいと考えている人。または本業にするきっかけにしたい人。
- 売れることを、「儲かる!」ではなく「自分の作品で喜んでくれる!」と思う人。要するに営利目的ではない人。
- あんまり作家の負担にならず、長く続ける方法を探している人
業者になりたい人は、本が出ているので本屋へ。
簡易まとめ
考えうる方法と、その利点・欠点を列挙します。後で、代表的なサイトと個人的な感想交えて解説します。
下記はあくまでも個人的な感想です。
最終的には、自分で手法を検討して、自分の売りたいものと、ターゲットがマッチしていそうなところで売るのがハッピーだと思います。
方法とその利点・欠点
方法 | 利点 | 欠点 | おすすめ |
---|---|---|---|
自分のサイト | 導入が容易。知り合いが多いのでわりと安心して取引が可能 | 宣伝が難しい。肥大化してくると技術的知識が必要。 | ○ |
レンタルショッピングカート | 導入が容易。 | 宣伝が難しい。肥大化してくると管理が面倒。多くは有料。 | △ |
オークション | 比較的容易。宣伝効果が高い。 | 適切な値段にならない。 | △ |
イベント頒布 | 目の前でお客さんに「これください」って言ってもらえる | 実は参加費が高い | ○ |
手芸専門サイト(委託販売) | 宣伝が簡単。販売管理の手間が少ない。 | 手数料が高いことが多い。導入リスクあり | △ |
手芸専門サイト(直接通販) | 宣伝が簡単。導入リスクが低い | 手数料がかかる。 | ○ |
実店舗(箱レンタル) | 売れた実感が持てる | レンタル料金が高い | △ |
実店舗(委託販売) | 作家の夢 | でも世の中、レベルの高い人がいっぱいいます | △ |
特に、(個人的に)おすすめする・応援したい方法
- 自分のサイト: 簡単。取引方法が自分で選べるのでまずはここから。
- イベント頒布: とにかく売れることうれしいし、同志に出会える。儲からないけど。お金の尊さについて考える。
- 手芸専門サイト(直接通販): 日本ではまだ馴染みがないけど、ネットで個人販売する一番いい形だと思う。今後に期待。
自分のサイトで販売する
一番簡単で、今すぐにでもできる方法です。
趣味の範囲で販売する人にとっては、「手数料がかからない」「値段設定が自由」「基本的に知り合いとの取引」になるのは、安心して活動開始できる後押しになると思います。
購入者からも販売者が近いので、反応がダイレクトにもらえるのも利点です。「届いたよー!やったー」というブログ記事にうれし涙。
ただ、はっきり言って、宣伝するのが難しい。
普通、ブログが明らかに有名だったということはないし、商品の市場価値がないところからのスタートなので、検索で知らない人を呼び込めるわけではありません。順当に考えて知り合いにしか見てもらえません。*1
同時に、知らない人にとっては、購入障壁が高いということになります。見知らぬ販売者を信用できないからです。これは販売するほうも同じです。
ちなみに、この販売方式で注文・販売量が増加すると、注文メールをさばくのにある程度技術的知識が必要です。
少なくとも自分で注文フォームを作れるWeb知識と、注文書を作るだけのプログラミング・エクセル知識があるとよいと思います。
レンタルショッピングカートを利用する
自分のブログ・サイトとは別にショッピングカートを利用する方法です。ECサイトと言われることもあります。
- レンタルショッピングカート サイト例(他にも星の数ほどあります。)
カラーミーショップ(有料):http://shop-pro.jp/ | |
FC2ショッピングカート(有料・無料):http://cart.fc2.com/ | |
e-shops(有料):http://cart.e-shops.jp/ |
この方法は自分のブログでの販売を、ある程度形式化させる効果があります。技術的知識がなくても立ち上げることができます。
ただし、初期費用・月額使用料・手数料がかかり、宣伝も自分で行わなくてはなりません。
実は、商品力に自信があり、本格的に営利目的でWebShopを開店したい人にしか向いてないと思います。
オークション
個人取引のメジャーな方法です。
楽天オークション:http://auction.rakuten.co.jp/ | |
Yahoo!オークション:http://auctions.yahoo.co.jp/ |
手芸作品を出品されている方も多くいらっしゃいます。(例えば、「フエルト ケーキ」で検索するとわかると思います。)
この方法では、多くの人に見てもらえる半面、営利目的の要素が強くなります。市場の原理が強く働きやすいということです。すでに市場価値がある程度決まっているもの、人気のある人の作品や、ある程度需要の見込めるものは、高額で取引される可能性もあります。ある程度人気の担保されているブログの作家さんが、多くの人に高く買ってもらいたいという時にはよいシステムです。しかし、見てもらえなかったものは売れないか、適正な価格(作家の望む価格)がつかないということです。また、一定額で販売する性質の商品は販売しにくいと思います。
また、取引システムは完全にサービスに依存します。多くの場合、「先に商品を送り、後でお金を振り込んでもらう」形式が採用されています。個人で見知らぬ人に販売するには不安が残るシステムですし、何より、相手との交流が取りづらいシステムでもあります。
また、オークションに併設されているショップという仕組みもあります。広告がだせたり、専用ページを持てる等の利点がありますが、月額利用料が高額です。営利目的でないと正直利用は辛いものがあると思います。
イベント頒布
多くの作家が集まって同時に販売する方法です。
コミックマーケット:http://www.comiket.co.jp/ | |
コミティア:http://www.comitia.co.jp/ | |
デザインフェスタ:http://www.designfesta.com/index.html |
通りかかるお客さんが立ち止まってくださる喜びを感じられるイベントです。一日店主の気分でいられます。
また、自分の作ったものに、お金を出して下さることの喜びを一番感じられます。
周囲には同じように作ることが大好きな人がたくさんいます。友達を見つけられるチャンスでもあります。
一方、イベント参加費(5000〜10000円)がかかります。相当有名な作家さんでないと赤字です。
イベントによって雰囲気・客層が異なるので、事前に下見することをお勧めします。
また、常設しているわけではないので、継続性はありません。他の方法と併用することが望ましいと思います。
手芸専門サイト(委託販売)
手芸専門のサイトに販売を委託します。「ハンドメイド 委託」などで検索するとサイトを発見できます。
マグネットカウンシル:http://www.magnet-council.com/ | |
ハンドメイド雑貨ネット:http://handmade-zakka.net/ | |
Raspberry jam:http://r-jam.com/ |
形式は様々ですが、商品をサイトの管理者に納品し、売れるのを待つ形式が主流のようです。
個人でショップを持つと宣伝するのが難しいという点を解消してくれると思います。
ただし、月額/年額使用料が定額でかかるため、少量での販売や、短期間の販売は向いていないと思われます。
販売がある程度見込める場合や、継続的に新規商品を販売できる場合のみ、効果的な運営が可能だと思います。
手芸専門サイト(直接販売)
オークションを手芸のために最適化した販売方式だと思います。
Etsy(英語):http://www.etsy.com/ | |
Proory(日本語):http://proory.com/ | |
cooboo(日本語):http://cooboo.jp/ | |
Creema(日本語):http://www.creema.jp/ | |
:OC BAZAAR(日本語):http://oc-b.jp/ | |
BAURY (日本語):http://baury.com/about.html | |
öppna(日本語):http://oppna.jp/ | |
ハンドメイドチップ(日本語):http://handmadechip.jp/ |
オークションの宣伝効果の高さと、作家にやさしいシステム(売り上げに比例する手数料システム、値段設定、導入コストの低さなど)を融合したシステムだと思います。購入者にとっても、多くの商品のなかから、自分がほしい物を選んで購入することができます。自分のサイトでの宣伝に限界を感じたら、登録してみるのもよいと思います。
海外では上記に挙げたEtsyがとにかく有名です。大きなサイトなので、誰でも必ず一つは自分の好きなものを発見できる喜びが味わえます。
また、営利目的よりも、作品を楽しむ雰囲気があり、暖かい印象です。
ただ、英語なので、日本から出品するには敷居が高いかもしれません。
個人的に、この方法が「つぎくる!」と思っていますが、日本ではあまり一般に膾炙されていないのが現状です。
日本で、Etsyと同じシステムを導入したサイトに、Proory、cooboo、Creemaなどがあります。
また、手数料をとらないコミュニティサイトに、ハンドメイドチップがあります。(この行 20101218追記)
日本のネット文化と、ターゲットへの親和性、検索性の高さがうまく融合したサイトが大きくなるのではないかと思っています。
実店舗(箱レンタル)
50センチ四方等、箱型のスペースをレンタルして販売する方法です。地域に根差したお店が多いので実例を挙げるのは避けます。*2
継続的に自分の商品を”リアル(現実世界)”に置いておけるお店が持てるシステムなので、売れた時の喜びが大きいと思います。
また、ノートなどを通して、お客さんと交流が持てるのも楽しみの一つです。
ただし、実際に店舗に赴いて納品・請求する必要があるので、自分の家の近くにある必要があります。
また、(場所にもよりますが)月額使用料がそれなりにするので、それなりの販売を見込める場合でないと、長期継続は難しいでしょう。
お店の立地によって、雰囲気や客層・年齢層が違います。下見をお勧めします。
実店舗(委託販売)
敷居は高いけど一度は夢見る実店舗委託販売。
当たって砕けろの精神と、時の運(自分の売ることができるものと、委託先の求める販売物のイメージがあう)が大切。
ビジネス色が強くなる分、自分のエゴだけでは売るものを判断できなくなるので、委託先の方と一緒に頑張るぐらいの気合が必要。
と思う。
要するに、非営利の考え方からある程度営利にシフトしなくてはならないということ。
また、世間にはすごいレベルの高い物を作る人がいて、自分って視野狭いな、もっと頑張らなきゃなと奮い立たされる。
そして、世間はそんなに甘くもなく、物を売るのは難しいんだって思うのにとてもよいと思う。
まとめ
長くなりました。
自分の体験したもの*3や検討したものを一度まとめてみたかったのでした。
自分の作ったもので誰かが喜んでくれる喜びを感じたり、お金を払ってもらえる尊さにはっとします。
個人で物を売ることが簡単になった時代なので、もし機会があれば、自分の作ったものを売ってみるのはいかがでしょう。
長い長いお誘いでした。