毛のはえたようなもの

インターネット的なものをつらつらとかきつらねる。

「擬人化」に関するまとめ

全体まとめ

古事記」「鳥獣人物戯画」をはじめ、日本では古来から擬人化が行なわれてきた。擬人化によって、人は対象物に興味を持ったり、コミュニケーションを図ることできる。(例えば本来しゃべるはずのない物に話しかけるなど)擬人化を取り入れた製品や文学作品は挙げればきりがない。
それにもかかわらず、擬人化について広い範囲でまとめて調査した本は見つからなかった。不思議すぎる。
以下では、擬人化も含まれる見立て文化と、擬人化を体現した例や研究への応用例などを挙げる。

言葉の定義と類語

定義

擬人化・・・人間でないものを人間に見立てて表現すること。

ぎじんか【擬人化】の意味 - 国語辞書 - goo辞書
類語

書籍

エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために

エモーショナル・デザイン―微笑を誘うモノたちのために

人間の情動を喚起するためにはどのようなデザインがよいかを分類して記述された本。擬人化については、擬人化によって人は情動を喚起され、インタラクション可能な存在として捉えることができると書かれている。


現代見立て百景(INAX BOOKLET)

現代見立て百景(INAX BOOKLET)

見立て文化について、例を挙げて説明されている本。直接的に擬人化に関しては書かれていないが、日本文化、特に庭園・歌舞伎・文学・絵画等で用いられた手法を図や例を挙げて説明されているのでわかりやすい。


まなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts)

まなざしのレッスン〈1〉西洋伝統絵画 (Liberal arts)

西洋文化、とくに絵画にみられた見立て文化について学べる本。元ネタがあって、それを継承する様は日本の俳句の季語・枕詞よう。実は大学の教養時代にとっていた美術史の教科書。これを読むと美術館が楽しくなる。


人はなぜコンピューターを人間として扱うか―「メディアの等式」の心理学

人はなぜコンピューターを人間として扱うか―「メディアの等式」の心理学

The Media Equation: How People Treat Computers, Television, and New Media like Real People and Places (CSLI Lecture Notes S)

The Media Equation: How People Treat Computers, Television, and New Media like Real People and Places (CSLI Lecture Notes S)

  • 作者: Byron Reeves,Clifford Nass
  • 出版社/メーカー: The Center for the Study of Language and Information Publications
  • 発売日: 1998/05/13
  • メディア: ペーパーバック
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人は、明示的に擬人化されていないメディア(テレビやパソコン、情報)に対して擬人観を見出すことができるという主張が述べられた本。日本語訳は絶版なので、入手が困難*1


身体性とコンピュータ

身体性とコンピュータ

身体性とコンピュータの関係性、特にユーザインタフェースについて述べた本。コンピュータの擬人化に関しても言及があるが、例が古い。


エージェント工学―IT Text

エージェント工学―IT Text

コンピュータにおけるエージェントについて包括的に述べられた本。情報の擬人化であるエージェントについて。

論文

研究としては主にロボットとエージェント工学で擬人化の文脈が取り入れられていることが多いです。

  • B. J. Fogg: “Persuasive technology: using computers to change what we think and do,” Morgan Kaufmann Publishers, 2002.:人が「擬人化されている」と思う要素として5つ「身体的」「心理的」「言語」「社会的力学」「社会的役割」を挙げている。
  • 萌木:植物を育てる楽しみを擬人化したもの
  • ペタろう:付箋の擬人化研究、およびそのサービス
  • 大澤 博隆,大村 廉,今井 倫太:"直接擬人化手法を用いた機器からの情報提示の評価",ヒューマンインタフェース学会論文誌, Vol.10, No.3, pp. 11-20, 2008:人の身体を模したロボットを物体に装着し、物体の視点で人に指示を出す。
  • かおさがし:日常風景の中から顔に見えるものを切り取ってキャラクター化するデバイス

映画・アニメ・漫画・実例・サービス等

挙げればきりがないんですが、挙げてみます。足りないところはたくさんありますが、ゆるしてね。

*1:はじめ国会図書館まで読みに行った。その後自分が古本で手に入れたものは、工学部電気系図書館に寄贈してきたから東大でも読めるよ

「かわいい」に関するまとめ

全体まとめ

「かわいい」とは非常に主観的な言葉であるため、一般的に「かわいい」をきちんと定義した本はない。*1
とはいえ、言葉の使用傾向はあるので、それを現代のアンケート・フィールドワーク調査や、歴史的な分権から明らかにしようと試みた文献や研究が存在する。ただ、調査者のバックグラウンドや、「かわいい」に対するとらえ方によって主張の抽象度や志向が大きく異なり、また全体としてまとまりがない。例えば、「かわいい」は「若者の語彙力不足だ」という批判的な内容であれば、本質的なかわいさについて論じるのではなく、「かわいい」文化から演繹される若者像を語る、などのように。逆に、好意的にとらえている調査者の場合、調査結果は一見全てのものに当てはまるように見えるが、自分の興味のある「かわいいもの」に調査対象が偏り、したがって「かわいい」とは何かについて偏りがある。
下記には、特に参考になったと思った本や論文について挙げる。主観的な主題に対して、これまた極めて主観的なチョイスですが、許してほしい。
かわいい、は、単純で、難しい。そして正義!

「かわいい」に関する書籍

書名はデザインだけれども、”かわいい”形と色について調査した結果が掲載されている。書き方も丁寧で、図も適切に入っているため非常に読みやすい。


カワイイパラダイムデザイン研究

カワイイパラダイムデザイン研究

「かわいい」という言葉に関して多数のフィールドワークを行い、そこから演繹的にかわいいの概要を示そうという試みが多数掲載されている。また建築に関しての言及比率が大きい。比較的広範囲の対象に対して「かわいい」を研究していること、多数の写真や例が挙げられている点はよい。しかし残念ながら文章にまとまりがなく、とても読みにくい。


「かわいい」の帝国

「かわいい」の帝国

特にファッション史からみた「かわいい」について解説。かわいいに関する歴史を知るためには、この本が一番詳しい気がする。注釈も詳しく、読み物として面白かった。


「かわいい」論 (ちくま新書)

「かわいい」論 (ちくま新書)

文献をあたってまとめられた。古典(枕草子)から近年の萌えまで。特に外国のKawaiiについてくわしい。キャラクター文化についても言及している。ただ、いまいち自分の持っているかわいい観と隔たりを感じた一冊。


キャラ化するニッポン (講談社現代新書)

キャラ化するニッポン (講談社現代新書)

「○○もってる私がカワイイ」などのキャラクターの自己投影に関する調査とその考察がメイン。バンダイのキャラ研の方なので、キャラクターとしては王道のものを扱っている。


キャラクター・コミュニケーション入門 (角川oneテーマ21)

キャラクター・コミュニケーション入門 (角川oneテーマ21)

売れるキャラクターの作り方、キャラクターを媒介とした商業、コミュニケーション例。キティちゃん誕生秘話が語られていた。


可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫)

可愛い女(ひと)・犬を連れた奥さん 他一編 (岩波文庫)

古典的なかわいい女性像(亭主のことを慕い、亭主の意見を自分の意見とするような人)を描く文学作品。これはこれでかわいいと思う。


枕草子 (岩波文庫)

枕草子 (岩波文庫)

かわいいものを愛でまくったことで有名なのは 「151段 うつくしきもの」

かわいいに関する論文

  • 稲見昌彦, 小泉直也, 常盤拓司, 杉本麻樹: “Kawaii ユーザインタフェース”, エンタテイメントコンピューティング2010, 2010.:「かわいい」に関して研究しているというより、「かわいい」というメタファを取り込んだ(稲見研の)研究例をまとめた論文

「かわいい」が根底にある(、またはあったのではないか?私が勝手に思っていた)研究または実例

  • H. Kozima, M.P. Michalowski, and C. Nakagawa, “Keepon,” International Journal of Social Robotics, vol. 1, 2009, pp. 3--18.:黄色くて柔らかいロボット。かわいい・・・! 動画

番外

とはいえ、「かわいい」は超主観的なものだよね!やっぱ、びびびっときたら、かわいいんですよ!という思考停止のなれの果てがこちらのかわいいもの集めのTumblrです。
他の人のかわいいは知らないけど、私の思うかわいいはここに凝縮されている。
http://kaeru-san.tumblr.com/

*1:逆にさだまったら「かわいくない」だろうとも思うし。

「かわいい」と「擬人化」に関する修論資料大放出セール

修論を書くにあたって集めた「かわいい」と「擬人化」の資料まとめです。
なんで修論書くためにかわいいと擬人化なのかというと、私は2年間どうしてもかわいい研究が、特にキャラクター(擬人化)を研究にしたいと言い張って、それを研究させてもらうことができたからです。*1

それはさておき。

自分が興味のある「かわいい」「キャラクター・擬人化」について調べてみると案外資料がまとまっていないか、まとまる途上であることに気が付きました。誰かの助けになればいいなと思って、ここに大放出します。
ただし、このまとめは、擬人化とかわいいが互いに同居しています。擬人化する(キャラクター化する)ことで、かわいいが引き出されるという立場のもとに集めた資料だからです。そのあたりは注意してください。

*1:今から考えるとすごくわがままなことをやらせてもらったなと思っています。また、修論が描けるか書けないかの危険な賭けだったとも。おかげで2年間とても楽しく(つらい時ももちろんあったのですが)研究できました。研究室の先生方、ありがとうございました。

大学グッズ通販停止のお知らせ

大学生協で販売させてもらっていたグッズのインターネットでの販売は停止いたしました。
卒業に伴って物理的に買いに行けなくなるからです。ご愛顧ありがとうございました。(というほど利用者がいなかったけれども。)

キーホルダー販売開始しました。

コミティア等のイベント頒布を行なってきたキーホルダーのネット頒布を受け付け開始しました。

全商品共通

  • 絵柄は22mm角で、大きさはだいたいそこから類推していただくとよいかと。
  • 1個400円です。
  • 今回より郵送のみ受け付け。送料別途。大体同じ時期に申し込まれたものは同封して発送いたします。
  • 個別包装は以下のような感じです。


サイトウサン

全部で20種類ぐらいあります。ご注文はこちらから:http://hina.sophis.info/character/saito/keyholder/

ひよこさん

全部で35種類ぐらいあります。ご注文はこちらから:http://hina.sophis.info/character/hiyoko/keyholder/

「あなたのそばに、ひよこさん」展ありがとうございました!

約1カ月前に終わったひよこさん展の写真をいまさらUPしました。
たくさんの方の作品・付箋を飾ることができ、とても充実した個展でした。
ご来場いただいた皆さんに「来てよかった!」と思ってもらえたら、いいな。

こちら: http://www.flickr.com/photos/kaeru_san/sets/72157625930192282/

http://farm6.static.flickr.com/5173/5549445680_1ece513f23.jpg


こんなに時間がかかったのは、写真大量にあったうえに、全てに色調補正かけたり、一部に写真合成ソフトをかませたりしていたので、時間がかかったのでした。
ああ、勿論、研究や旅行をしていた後、地震があって、落ち着くまでに1カ月かかってしまったということもあります。


上記の合成は、Microsoft ResearchのImage Composite Editor (ICE)でしました。
なかなか楽しいので、使ってみてはいかがでしょう。
http://research.microsoft.com/en-us/um/redmond/groups/ivm/ICE/

「あなたのそばに、ひよこさん」展開催中です!

たくさんの方からの作品ご応募ありがとうございました。
おかげさまでよい展示になりました!
日曜日まで!ぜひご来場ください&&途中経過の写真をお送りします!

開催概要

いのなかかえる「あなたのそばに、ひよこさん」展

  • 期間: 2011年2月21日(月)〜27日(日)  12:00-20:00 (水曜定休日、最終日は18時まで)
  • 見どころ:いつもの生活。いつもの下北沢。でもちょっとだけ視点を変えてみるとなんだか楽しい1日に。ひよこさんと一緒に「クスクス」「にやっ」と遊びませんか。本人による絵やグッズの展示・販売のほか、Webや来場者の方の投稿によって日々変化する展示会場もぜひご覧ください。
  • 作品: 絵(展示のみ)、羊毛フエルト(600円〜800円)、Tシャツ・バッグ・よだれかけ(1500円〜)、キーホルダー(全34種類)、ひよこ顔の金太郎飴(5個入り100円、10個入り200円)
  • お土産:付箋でひよこさんや感想を描いていただくと、飴1個進呈!
  • 場所: アクチュアル・プルーフ下北沢(下北沢駅南口をおりて、左に曲がったところです。)http://www.actual-proof.com/


大きな地図で見る
この看板が目印!
http://farm6.static.flickr.com/5136/5473778718_35b42d8dac.jpg

展示風景

妄想図(拡大写真はこちら):

http://farm6.static.flickr.com/5173/5461104533_bec0dc7a54.jpg
こうなった!


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皆さんから頂いた作品の展示のほか、今まであまり明示的にしてこなかったキャラクタコンセプトや、ひよこめし追記の作品を貼ってみました。また、付箋でひよこさんを追記していただいているので、毎日展示が変化してゆきます。


その他の展示風景についてはこちらをご覧ください。:http://www.flickr.com/photos/kaeru_san/sets/72157625930192282/