毛のはえたようなもの

インターネット的なものをつらつらとかきつらねる。

電子ペーパー動向のまとめ

2008年までの電子ペーパーのまとめ。もとは院試の研究プレゼンをするために調べました。*1
誰の役に立つのかは知らない。

電子ペーパー

電子ペーパーというとOEL(有機ELディスプレイ)からAmazonKindle、サーマルプリンター(リライタブル)までいろいろな意味を含んでいます。この記事では電子ペーパーという単語を「薄型・軽量な、反射型の、メモリ性を有する媒体」ということにします。

まず参考文献

めっちゃくわしい一番最近にでた本をご紹介。
詳しい原理から今後の展望まできっちり書いてあるので興味のある方はまずこちらを熟読されるのがよいと思います。*2

電子ペーパー (シリーズ「デジタルプリンタ技術」)

電子ペーパー (シリーズ「デジタルプリンタ技術」)

以下はこの本に記載されている表示技術まとめと、Web上資料へのリンク、実例です。

表示技術

いろいろと表示技術があります。表にしてみました。
原理等は各企業サイトでご覧ください。

名前 原理 開発企業
マイクロカプセル型電気泳動方式 企業サイト E Ink,トッパン
Microcup®方式 企業サイト SiPix
電子粉流体方式 企業サイト ブリヂストン
コレステリック液晶方式 企業サイト 富士通
エレクトロウェッティング方式 企業サイト Liquavista
MEMS素子方式 企業サイト Qualcomm MEMS Technologies Inc
シャッター方式*3 企業サイト Pixtronix

粉・カプセル系は素材に何を使っているかを明確に公表していないため、会社で分けています。


その他にもインクが特殊なものとして以下がありますが、「電子ペーパー」ではなくて「特殊なペーパー」である気がします。

実例

電子ブック
  • Amazon Kindle:Amazon.comが販売する電子ブックリーダーである。2007年11月19日にアメリカ合衆国で発売が開始された。E Ink社方式。
  • Sony「Sony Reader」:2006年9月より北米でPRS-500型が発売されている。E Ink社方式。
  • Foxit「eSlick」:発売されてない。E Ink社方式。
  • 松下「ΣBook」:2004年2月発売。公式サイトでコンテンツ配布を行っていたが、2008年6月30日に終了を告知。9月30日をもって正式に終了。
  • Sony「LIBRIe」:日本国内では2004年4月24日に発売されたが売れ行きが伸びず、2007年5月をもって生産を終了した。ソニーが全額出資する電子書籍配信サイト「TimeBook Town」も2009年2月にサービスを終了する。
携帯電話

試作機

基礎技術
電子書類観覧用
時計、その他

結論「OEL強すぎ」

反射光表示・表示時消費電力なしという点で液晶やOELには勝っていると考えられます。
しかし薄いディスプレイ・曲げられるディスプレイはOELによって実現されてしまいました。
また書き換えの消費電力もOELとおなじぐらいです。
こうなると高価で応答速度が悪くて動画表示に向かない、カラー化が難しい(できてもあんまり鮮明でない)電子ペーパーはOELに追いやれそうになっている、というのが現状だと思われます。


遅々として開発が進まないのはカラー化が進まないこととキラーアプリがないということが原因だと思いました。本当のところどうなのか、開発者さんに聞いてみたいところです。

*1:電子ペーパーを使ったこんなのどうですかって言って質問タイムでフルボッコにされたけどね!!!

*2:院試のための死ぬ気で熟読したが、結局フルボッコだった私

*3:例外的にバックライトが必要となる

*4:電子紙研究者さん、コメントありがとうございました。

*5:実端末ユーザーさん、コメントありがとうございました。